前回の記事で外国人技能実習生の受け入れは、監理団体型と企業単独型の2種類がある事を説明しました。
ただしコスト面や事務作業などの面において企業単独型は大手企業以外には難しく、ほとんどの企業が監理団体型を選択する事になります。
監理団体って実習生を雇うのをサポートしてくれる組織ってことだよな?
はい、立ち位置的には人材紹介会社に似ていますね
そうだろ
なんで人材紹介会社じゃだめなんだ?
そこは外国人技能実習制度のルールがあるためです
自分たち以外の力をかりて受入れをする際には監理団体にお願いしないといけないんですよ
う~ん、監理団体ねぇ
よくわからんから、かいつまんでどんな団体なのか教えてくれ
監理団体とは
海外の人材に実務を通して技術を継承する事で、国際協力の推進をすることが技能実習制度の本来の目的です。
その制度の運用には、監理団体が大きな役割を担っています。
監理団体は非営利の法人であることが求められており、省令により次のような法人形態である事が定められています。
・商工会、商工会議所
・中小企業団体
・職業訓練法人
・農業協同組合、漁業協同組合
・公益社団法人、公益財団法人
・その他法務大臣が告示をもって定める監理団体
※ただし、団体監理型実習実施者がそれぞれの団体に所属している場合に限ります。
※ここでの中小企業とは、中小企業団体の組織に関する法律第三条第一項に規定する中小企業団体を指します。
さらに、管理団体が企業の支援のために技能実習生を迎えるには以下のような要件も求められます。
・ 国、地方公共団体などから資金その他の援助及び指導を受けて技能実習が運営されること
・3ヶ月に1回以上実習実施機関に対する監査等を行うこと
・技能実習生に対する母国語での相談体制を確保していること
・技能実習1号の技能実習計画を適正に作成すること
・技能実習1号の期間中、1ヶ月に1回以上役職員による実習実施機関に対する訪問指導を行うこと
・技能実習生の入国後に専門的知識を有する外部講師によって以下についての講習を「技能実習1号ロ」活動予定時間の6分の1以上の時間実施すること(海外で1月以上かつ160時間以上の事前講習を実施している場合は、12分の1以上)
・日本語
・日本での生活一般に関する知識
・入管法、労働基準法等技能実習生の法的保護に必要な情報
※職業などによってさらに必要な要件が加えられる事もあります。
このように、監理団体は厳格なルールの下で運営されている団体となります。
こういった、監査を行ったり、実習生や企業への相談受付、実習計画の作成をするのが監理団体の役割なんです
でも、これ以外にもいろいろ仕事はあるみたいですよ
技能実習生を雇うには結構やらなきゃならんことが多いんだな
そうですよ~
これ私がやったら他の仕事が回らなくなっちゃいますよ!
大丈夫!じんじは強い子だから♡
監理団体の種類
監理団体には、与えられる許認可によって以下の2種類の区分があり、監理できる技能実習やその期間が異なります。
一般監理事業の許可と特定監理事業の許可
第1号団体監理型技能実習または第2号団体監理型技能実習
許可の有効期限は3年で、更新時までに改善命令や業務停止命令を受けなかった場合に次回の有効期限を5年で申請できます。
特定監理団体と同ように第1号、第2号団体監理型技能実習について実習監理を行うことができます。
またそれに加え、一定の要件を満たした優良な監理団体として第3号団体監理型技能実習を行わせることができます。
許可の有効期限は5年で、更新時までに改善命令や業務停止命令を受けなかった場合に次回の有効期限を7年で申請できます。
⇒技能実習の1~3号についてはこちらの記事で解説をしています
監理団体の役割
監理団体は実習生の受け入れにおいて技能実習の適正な実施及びその権利保護について重要な役割を担う存在です。
そのため、実習監理の役割と責任を適切に果たさなければなりません。
具体的には、監理団体の仕事については、技能実習法及びその関連法令に定められており、次の5つになります。
監理
監理団体が、技能実習を実施する企業等において技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているかどうか、その実施状況を確認し必要に応じて指導を行うこと。
技能実習制度の趣旨の理解と周知。
技能実習制度の趣旨が国際協力、国際貢献にあることを理解し、技能実習に係わる企業および機関に周知すること。
それにより、技能実習生を安価な労働力と考えている企業および機関の実習生の受け入れ等を防ぐこと。
監査・訪問指導
技能実習法や出入国及び難民認定法のほか労働関係法令の違反等について監査を行うこと。
実習実施機関に対し3か月に1度の定期監査( 技能実習1号については1か月に1回の定期巡回)を行い、その結果を地方入国管理局や外国人技能実習機構に報告。
違反等があった場合は注意を促しつつ、場合によっては各種機関に通報しなければならない義務。
技能実習計画の作成
実習実施者は技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構から認定を受けなければならない。
この作成においては、実習監理を受ける監理団体の指導に基づいて作成することが求められている。
入国前講習及び入国後講習の実施
監理団体は、自らが計画した入国前講習及び入国後講習を実施します。
入国前講習は、実習生の母国で1ヶ月以上かつ160時間以上の課程で行われます。
入国後講習は2か月以上行うことが義務付けられていますが、入国前講習を1ヶ月以上かつ160時間以上の課程で実施している場合は、1か月に短縮されます。
監理団体が行う入国前講習は原則としてこの基準を満たすように計画され、受け入れ企業がスムーズに実習を行えるようになっています。
入国後講習については、実習実施者における技能実習開始前に座学形式によって実施する必要があります。
相談業務
技能実習生が直接母国語による相談ができる体制の確保の義務。
いくら私が仕事ができる優秀な人材って言っても入国後の講習はできないですよ!
うん?講習?なんだ、それは
技能実習生は日本に来てから一カ月くらいはみっちり日本の文化や言葉を勉強するんです
私にはそんな一カ月も先生みたいに教える時間はないですよ
実習生は年に1回しか来ないわけだし
じんじの有休ぜんぶ使えばなんとかなるんじゃないか?
なんなら来年の分も前借りさせてやるぞ?
ワシって優しいな~♪
(このしゃちょー、ネジが飛んでるんじゃないのか)
(私も転職考えようかな)
日本の監理団体の数
平成31年3月現在で国内の監理団体は2505団体です。
以下、内訳です。
一般監理事業を行う団体 : 1175団体(平成31年3月29日現在)
特定監理事業を行う団体 : 1330団体(平成31年3月29日現在)
監理団体の探し方
監理団体は厚労省のホームページで一覧なども閲覧できますが、2500以上の団体を個別に探すことは効率的ではありません。
OTIT(外国人技能実習機構)で管理団体の検索手軽にを行う事が出来ます。
まとめ
監理団体は技能実習生の受け入れを考える企業にとって、最も重要なパートナーとなります。
信頼できる管理団体を見つけて技能実習生の受け入れを進めていきましょう。