食品製造で実習生を受け入れるときに最低限知っておくべきことまとめ

日本ではこれから様々な分野で人手不足が起こると予想されるています。

これだけは知っておきたい人手不足の原因と対策

そのため、日本政府はそれらの分野でより多くの技能実習生を受け入れることができる様、制度改正を進めています。

その職種の一つが食品製造分野です。

しゃちょーしゃちょー

おい、じんじ
ワシの昼ご飯(ドッグフード)が湿気てるぞ
今すぐ新しいの買ってこい

じんじじんじ

しゃちょーのご飯まで面倒見切れませんよ

じんじじんじ

でもまってください
この食品をつくっている会社も技能実習生を大量に採用したとニュースで言ってましたね

しゃちょーしゃちょー

食品を扱う工場にも実習生を入れるのか??
口に入れるものを扱うのに外国人にその仕事が務まるもんなのか!?

食品製造分野が対象職種に追加

技能実習制度が始まった1993年には、その対象は製造業と建設業を中心とする17職種のみでした。

ですが、発展途上国である母国に日本の様々な技術を伝えようとする多くの技能実習生や、技能実習制度を自分たちの業界に迎えたい業界団体などが声を上げることで、その職種は年々増え続けています。

食品製造関係において受け入れる必要性

食品製造業は、製造業の中で事業所数や従業者数が最も多い業種です。

また、地域による人員の比率に大きな偏りもなく、経済的な観点からも雇用と生産を支える重要な役割を持つ産業と考えられています。

しかし、食品製造業では他の製造業と比べ人手不足が進んでいる状況にあります。

食品製造においては目視や手作業がなど人員が必要な工程もあることや、食品衛生法改正により平成32年6月までにより厳格に衛生管理の知識を有する人材を確保していくことが急務な状況となっている事などから、海外から優秀な人材を受け入れる必要性が以前よりも高まってきています。

食品製造分野の対象職種

食品製造分野で受け入れを行っている職種は次のようになります。

食品製造関係(11職種16作業)

職種 作業
缶詰巻締 缶詰巻締
食鳥処理加工業 食鳥処理加工作業
加熱性水産加工食品製造業 節類製造
加熱乾製品製造
 調味加工品製造
 くん製品製造
非加熱性水産加工食品製造業 塩蔵品製造
乾製品製造
 発酵食品製造
水産練り製品製造  かまぼこ製品製造作業
牛豚食肉処理加工業 牛豚部分肉製造作業
ハム・ソーセージ・ベーコン製造  ハム・ソーセージ・ベーコン製造作業
パン製造 パン製造作業
そう菜製造業 そう菜加工作業
農産物漬物製造業 農産物漬物製造作業
医療・福祉施設給食製造 医療・福祉施設給食製造作業

食品製造で受け入れるための条件(要件)

食品製造分野で技能実習生を受け入れる条件として、農林水産省は次のように定めています。

飲食料品製造業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験に合格した者又は飲食料品製造業分野の第2号技能実習を修了した者とする。
・技能水準
「飲食料品製造業技能測定試験」
・日本語能力水準
「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」

また、技能実習生を受け入れる事業者についても、次のように定められています

受入れ事業者に対して特に課す条件

ア 特定技能所属機関は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成される「食品産業特定技能協議会」(以下「協 議会」という。)の構成員になること。

イ 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。

ウ 特定技能所属機関は農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。

エ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記の条件を全て満たす協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

実習生が行う業務内容について

食品製造業において実習生が行うことの出来る業務は次のように定められています。

・1号特定技能外国人が従事する業務は、飲食料品製造業全般(酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生)。
・当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業等)に付随的に従事することは差し支えない。

以上が基本的な条件となりますが、試験の詳細などが複雑なため、事業者が全て把握するのは困難です。

対応漏れなどを避けるためには、これらの条件を念頭に置きつつ、専門機関へ相談するのが良いでしょう。

じんじじんじ

実習生が働けるというのはありますが
さすがに全工程を担当することはできませんよ

じんじじんじ

さらに試験にもパスする必要があったり、受け入れる会社にも定められる条件なんかもあるんです

しゃちょーしゃちょー

そうだよな
ワシの口に入るものをつくるんだから、それなりの条件をクリアしないとな
デリケートなワシの胃にもしものことがあったら大変だものな
ガハハハハ

じんじじんじ

(たまに拾い食いしてる人がよく言うよ)

食品製造における衛生教育と事故防止対策

食品製造分野では、全業種における1割以上の労働災害が発生しているというデータが厚労省より示されています。

このため、実習生の受けれ入れにあたり、受け入れ事業者には衛生教育と同様に事故防止の教育についても求められています。

食品製造関係においては食品事故食中毒と同様に、技能実習生の労働災害の発生が事業者にもたらす影響は甚大です。

刑事罰、行政処分、民事上の損害賠償などはもちろん、企業イメージの低下は経営に致命的な危険性をもたらします。

事故防止対策

事故防止対策の考え方として大切なことは、事故は偶然に起こるものではないという意識の徹底です。

事故は作業者の不注意が原因で偶然に発生したように思われる事が多いですが、実際は「作業者の不安全な行動」「設備などの不安全な状態」が原因となって必然的に発生するものです。

「不安全な行動」や「不安全な状態」の背後には様々な原因が関連していることから、事故防止のためには多角的な視点からの注意が必要です。

受入れ時の安全衛生教育

不安全な行動を防ぐためには受け入れ時の安全衛生教育が重要になります。

厚労省はその教育の基準として次のように示しています。

整理・整頓、清潔の保持について

作業の移動を妨げるような物が放置されてることや、積み上げた荷物がバランスを崩し倒壊する危険性を説明し、作業場の床や通路、階段は常に整理整頓するよう指導する。

作業着・保護具の適切な着用・使用について

作業着やマスク・帽子、保護具の着用にどのような意味や目的があるかを十分に説明し、企業でのマニュアルに則り、正しく着用させる。

作業開始時の機械・用具の点検

作業開始前に機械設備や用具にいつもと変わった点がないか点検する必要性を説明し、異常を発見した場合はすぐに監督者へ知らせるよう指導する。

危険な機械・作業の場所や内容について

使用する機械設備のどの箇所が危ないか、又は作業内容のどの部分に注意すべきかを示すことで危険性を認識させ、事故を起こさないためどのように作業するべきかを作業手順書に沿って把握させる。

異常発生時の対処方法

作業中に異常を発見した場合、機械設備を緊急に停止させる方法を訓練するとともに上司への報告の方法を説明する。

詳しくは厚労省の委託のもと、公益財団法人国際研修協力機構が事業者及び実習生向けに製作したマニュアルがあります。

⇒食品製造業に従事する技能実習生の安全・健康の確保 出典:公益財団法人国際研修協力機構(PDF)

じんじじんじ

しゃちょーの胃がデリケートかどうかは知りませんが、
確かに衛生問題が起きないように気を付けないといけませんね

しゃちょーしゃちょー

そうだろう

じんじじんじ

実際に食品製造業は衛生問題や事故などが起きやすいと言われています

しゃちょーしゃちょー

うんうん
一度変なものを売った会社からはワシは物を買わんからな

じんじじんじ

そういう風に考える方も多いと思います
だから食品製造業で実習生を入れる際には慎重にならないといけないですね

まとめ

人手不足の解消に向け、技能実習に関わる法改正が進むことで技能実習生を受け入れる企業が理解しなければならないこと、対応しなければならないことは多くなっていきます。

ですが、すでに訪れている人手不足を解決する最善の方法ではないでしょうか。

技能実習生を受け入れる事で人材不足の解消を考えているのであれば、ぜひ一度、専門機関での相談をお勧めします。