農業分野が生き残るためには実習生が不可欠!?

外国人人材に助けてもらわなければ困ってしまう日本農業の現状

これまで日本の農業界では中小零細規模の農家がその多くを占めてきました。

しかし近年、高齢や後継者不足などの問題から手放された農地を、農業の規模拡大に意欲的な事業者が合併などを進め事業規模の拡大を進めています。

農業は求人が集まらない

事業規模の拡大が進めば従業員の確保も必要となっていきます。

しかし、農業は農繁期の短期間に天候などにより成果が左右されるなど「稼ぎにくい」といったイメージが定着し、アルバイトで募集しても人員の確保が難しい現状があります。

また、これまで農繁期に互助的に人員を融通してきた事業者も高齢化が進みリタイアしてきている、といった問題もあります。

農業界もロボットやドローンなどICT技術を活用しながら作業を省力化し労力不足を補う努力はしていますが、日本農業のブランドの要でもある高品質な農畜産物生産は人の手によるきめ細かな作業が欠かせません。

また、果樹の育成や収穫などほぼ手作業に頼らざるを得ない分野も多くあります。

これらの事情から、農業においては多くの技能実習生の受け入れが行われています。

労働力としての外国人労働者の受け入れは、国際貢献という技能実習制度の本来の趣旨とは異なるものです。

ですが、技能実習計画に基づく作業を技能実習生が行うことにより農業の現場が支えられてきたということも事実です。

そのため、農業分野における技能実習制度は「結果的に労働力不足で悩む業界の救済策として機能」してきた側面があり、人材確保に苦しむ現場を支える役割を果たしてきたと言えます。

しゃちょーしゃちょー

ワシの近所の家がやってるお茶畑やミカン畑なんかも後継ぎがいないって困ってたなぁ

じんじじんじ

どの業種でも人手不足は問題になってますけど農業は若者が選ばない職種の上位に毎年入っていますからね

しゃちょーしゃちょー

畑なんかも手入れする人がいなくなると荒れてしまうからな

しゃちょーしゃちょー

その土地のご近所さんも迷惑するみたいだしなんとかする方法はないもんか・・・

じんじじんじ

そういう問題の解決にこそ技能実習生ですよ、しゃちょー

しゃちょーしゃちょー

え?農業で雇うことできるのか?

しゃちょーしゃちょー

作業が多い印象だから難しいんじゃないのか?

農業分野が対象職種に追加

技能実習制度における農業分野の対象職種への認定は、2000年の「施設園芸」が最初となり、続いて2002年に「畑作・野菜」が追加されました。

その後も法改正に合わせ対象職種は増えており、2020年時点で農業分野における受け入れ対象職種は2職種6作業となっていいます。

受け入れ可能な農業分野

農業における受け入れ可能な対象職種は以下の通りです。

農園分野の受け入れについて

耕種農業(施設園芸)
耕種農業(畑作・野菜)
耕種農業(果樹)

畜産分野の受け入れについて

畜産農業(養豚)
畜産農業(養鶏)
畜産農業(酪農)

技能実習2号・3号への移行対象職種・作業は耕種農業(「施設園芸」、 「畑作・野菜」、「果樹」)と畜産農業(「養豚」、「養鶏」、「酪農」)の上記の2職種6作業にです。

農業での受入れの流れ

技能実習生の受け入れの流れについては他職種と大きな違いはありません。

ただし、個人経営も多い農業分野における適切な制度運用のため、非営利の監理団体(農業協同組合)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等の実習実施者(組合員である農業者)が実習を実施する団体監理型での受け入れとなります。

技能実習の流れとしては技能実習1号から技能実習2号、3号へそれぞれの基準を満たすことで移行し、最長5年間の実習が可能です。

技能実習生の受け入れや団体監理型など、技能実習制度に関する説明はこちらの記事をご覧ください。

⇒外国人技能実習生をどこよりもわかりやすく徹底解説!

じんじじんじ

農業も作業面が多いのは確かですけど大事な技能の一つですよ

じんじじんじ

その証拠に農園分野・畜産分野共に対象職種も年々増えていってます

しゃちょーしゃちょー

カラダを使う仕事だからワシらみたいな年寄りにはキツイからな

しゃちょーしゃちょー

海外の若者にがんばってもらえるなら大いに助かるな!

じんじじんじ

しゃちょー、まだまだ若いですよ。30代くらいに見えますって

じんじじんじ

(おせじでもこう言っておかないと後で何言われるかわからないからな~)

しゃちょーしゃちょー

ガハハハ!そうか?

しゃちょーしゃちょー

じんじも良くわかってるじゃないか、30代のワシが朝まで飲みに付き合ってやるぞ!

農業における課題

農業分野における技能実習生の受け入れには、他の業界とは違った問題点がいくつか見られます。

日本語能力が低いとコミュニケーションが取れない

農業分野での事業者はこれまで農業のみを専門で行なってきた人が多く、外国語でのコミュニケーションが得意ではない方も多くいます。

そのため、実習生の日本語能力が低いとコミュニケーションを取るのが難しくなり、結果として実習をスムーズに行うことが困難になってしまいます。

この課題をクリアするためには、受け入れ前の相談や面談などでコミュニケーションをスムーズに取れる日本語能力を持った人材とのマッチングを行う必要があります。

技能実習生は受け入れ前に検定などで一定レベルの日本語能力を習得している前提はありますが、農業分野での受け入れ実績のある専門機関へ相談することで、事業者の求める日本語能力とのミスマッチをより防ぐことができます。

技能実習制度の理解不足から生じる法令違反

農業分野での事業者は、他の分野での企業などに比べ小規模であったり、個人経営の農家も少なくありません。

そのため、技能実習制度やそれに関連する法令、法律を完全に把握するのは難しいのが現実です。

これにより、長時間労働や賃金問題など、過去にも多くの問題が取り上げられてきました。

農業分野は短期間に一定の作業量を必要とし、作業を行う時間も他の分野とは違う特殊な環境もあるため、事業者がいつも通り行っている作業を同様に要求したつもりでも法令違反となることがあります。

そういった問題を解決するために、農業分野での実習生受け入れは農業協同組合が受け入れを行う「団体監理型」となっていますが、事業者にも法令順守の責任はあります。

技能実習生の受け入れを検討する際には、しっかりと専門機関との相談を行い、ルールを守る知識を得ておく必要があります。

じんじじんじ

しゃちょー、飲みに行くのはさておき。
農家の方が高齢化しているのは他にも農業独特の問題があるんです。

しゃちょーしゃちょー

高齢化はどこの業種でも起きてるもんだからな

じんじじんじ

まず、高齢な農家の方は海外の若者とコミュニケーションがうまく取りにくいという点です。

じんじじんじ

あと、小規模な個人事業で営んでいることも多いので技能実習制度運用の徹底がしにくい点があります。

しゃちょーしゃちょー

これはどうにかならんのか?

じんじじんじ

そうですね

じんじじんじ

監理団体が両社の間をうまく取り持ったり、ルールの説明をわかりやすく解説することで解消できるかもしれませんね

しゃちょーしゃちょー

なるほどな~
そういうわけなら監理団体もちゃんとしたところを選ばないと怖いかもな

まとめ

農業分野における人手不足は現在進行形の問題であり、早急な解決が必要です。

その解決方法の一つとして、技能実習生の受け入れを政府が推進しています。

同時に、適切な技能実習制度の運用のために技能実習生を受け入れる事業者が理解しなければならないこと、対応しなければならないことは年々多くなってきている状況もあります。

技能実習生を受け入れることで人材不足の解消を考えているのであれば、ぜひ一度、専門機関での相談をお勧めします。