技能実習生を機械・金属・製造業で受け入れるときに知っておくべき5つのこと

技術者が高齢化する機械金属製造業の惨状

日本の製造業は「メイドインジャパン」と世界に称される、ものづくり大国日本の基幹産業とも呼べる業種です。

そんな製造業ですが、経済産業省の実施した調査では94%以上の大企業や中小企業が人手不足を訴えており、そのうちの32%の企業は「人手不足が事業に影響を与えている」と回答しています。

この背景には日本の国際競争力の低下も関係していますが、それ以外の原因もいくつか考えられます。

職人の高齢化と若者が集まらない状況

「ものづくり」で日本の成長を支えてきた職人達も高齢化が進み、後継者の確保は機械金属製造業においても喫緊の課題です。

求人においては、近年では大企業志向の強い若者が増えてきたのに対し、下請けなども多い製造業の多くは中小企業が多く、国内で求人を出してもなかなか人が集まらない現状です。

この問題の解決に期待されているのが、外国人技能実習制度を利用した人材の確保です。

じんじじんじ

私が学生時代も大企業を目指す人がほとんどでしたね~

じんじじんじ

やりがいも大事ですけど大企業の方が安定している印象があって親の後押しもありますしね

しゃちょーしゃちょー

じんじよ、嘆かわしいぞ

しゃちょーしゃちょー

漢に生まれたからには小さくても一国一城の主を目指すのが筋ってもんだろう?

じんじじんじ

今の時代は出世したくない、責任を押し付けられたくない、プライベートを充実させたいって若者の方が多いのでその考えの人はかなり少数派ですよ

しゃちょーしゃちょー

けしからん!まったくけしからん!

機械・金属分野が対象職種に追加

技能実習制度における機械・金属分野へは制度の開始当初から多くの実習生を受け入れてきました。

しかし、近年の人材不足の深刻化から、より多くの職種での受け入れが進んでいます。

令和2年現在での機械・金属分野での対象職種は、15職種29作業となります。

受け入れ可能な機械・金属分野

機械・金属分野における受け入れ可能な対象職種は以下の通りです。

機械・金属分野の対象職種

機械・金属分野で受け入れを行っている職種は次のようになります。

機械・金属関係(15職種29作業)

鋳造 鋳鉄鋳物鋳造作業
非鉄金属鋳物鋳造作業
鍛造 ハンマ型鍛造作業
プレス型鍛造作業
ダイカスト ホットチャンバダイカスト作業
コールドチャンバダイカスト作業
機械加工 普通旋盤作業
フライス盤作業
数値制御旋盤作業
マシニングセンタ作業
金属プレス加工 金属プレス作業
鉄工 構造物鉄工作業
工場板金 機械板金作業
めっき 電気めっき作業
溶融亜鉛めっき作業
アルミニウム陽極酸化処 陽極酸化処理作業
仕上げ 治工具仕上げ作業
金型仕上げ作業
機械組立仕上げ作業
機械検査 機械検査作業
機械保全 機械系保全作業
電子機器組立て 電子機器組立て作業
電気機器組立て 回転電機組立て作業
変圧器組立て作業
配電盤・制御盤組立て作業
開閉制御器具組立て作業
回転電機巻線製作作業
プリント配線板製造 プリント配線板設計作業
プリント配線板製造作業

機械・金属分野での受入れの流れ

技能実習生の受け入れの流れについては、基本的には他職種と大きな違いはありません。

ただし、人材不足の深刻さから、機械・金属分野の一部を含む製造3業種(産業機械製造業、素形材産業、電気・電子情報関連産業)では平成31年より「分野別運用方針」として、受け入れ後の制度の運用に違いがあります。

これら対象の職種に関しては、技能実習2号修了者が通算で最大5年の就労資格となる特定技能1号を試験免除で取得可能となり、さらに滞在中に高い専門性などを認められた場合は在留期間の上限の無い特定技能2号を取得出来るようになりました。

詳しい職種などについては、以下の資料をご覧ください。
⇒製造業における外国人材の受入れについて 出典:経済産業省ホームページ(PDF資料)

技能実習制度は、本来、発展途上国への技術移転が目的で、実習の修了後は母国で技術移転を行うことが主な流れとなっていました。

ですが、人手不足の深刻さから、一定の専門性や技能を習得している外国人人材の積極的な受け入れを要望する声が大きくなり、制度の改正が進んでいます。

そのため、このような制度運用の対象となる業種はこれからも増えていくことが考えられます。

技能実習生の受け入れや団体監理型など、基本的な技能実習制度に関する説明についてはこちらの記事もご覧ください。

⇒外国人技能実習生をどこよりもわかりやすく徹底解説!

機械・金属分野における課題

経験者の確保は困難

機械・金属分野では、多くの企業が即戦力となる経験者を求めています。

技術を持った一流の職人を養成するのには膨大な時間を必要とします。たとえそこまでいかなくとも、最低限の業務をこなすだけでも人材の教育には非常に多くの時間を要します。

高度経済背長期のような人にも予算にも余裕のある時期ならいざ知らず、現在では社員をそこまで教育できる余裕のある会社はそう多くはないでしょう。

人材に関する問題はもう一つあります。技術者の高齢化と人材不足により、経験者を確保することは年々困難になってきている点です。

一度でも人手不足から現場が回らなくなってしまうと、人事・採用で社員の安定化を図ることは非常に難しくなってしまいます。

こうならないためにも、まだ技術を持った職人が現役でいる間に、少しでも多くの若者に技術を伝え、継承していくことこそがこれからも企業活動を続けていく上での課題です。

終身雇用を望む会社と実習生

製造業の多くが優秀な人材には長期的に、できれば終身的に雇用したいと考えています。

人材=会社の財産なので、当然ですね。

技能実習生も会社の想いと同じです。

良い会社には長期的に安定して働きたいと考えています。

会社で学んだ技術に磨きをかけ、日本でさらに向上していきたい。日本に貢献したい。こういった思いをもって日々業務に取り組んでいます。

ただし、技能実習制度には3年もしくは5年という制限があるため、技能実習制度のみの利用では両者の希望を叶えることができません。

制度は技能実習制度だけではないので、特定技能やその他の制度を利用することもできます。直接雇用によってフルタイム正社員とすることもできます。

これからの製造業に求められるのは、短期的に海外の人材を雇用して終わりということではなく、様々な方法を模索することにより、海外人材に長期的に業務に携わってもらうということなのかもしれません。

じんじじんじ

スキルの高い上司が足りないってのは製造業だけの課題じゃないですよね

じんじじんじ

うちみたいな中小も仕事のできる人から転職していなくなっちゃってますし・・・・

しゃちょーしゃちょー

あいつら~~!散々ワシが目をかけてきてやったっていうのに!

じんじじんじ

まぁまぁしゃちょー、皆さんもいろいろ事情があったわけですし

しゃちょーしゃちょー

事情なんて知ってたまるか!!

しゃちょーしゃちょー

あいつらがもっと仕事をできるようにとドンドン作業を振ってやったっていうのに、恩を仇で返しおって

じんじじんじ

(あ、たぶんそれが原因だ)

じんじじんじ

製造業もそうですけど、どの業種でも社員は優しい会社で長く働きたいんですよ

じんじじんじ

我が社も優しい会社を目指して行きましょ

しゃちょーしゃちょー

え?今以上に?