平成最後の月、2019年4月から新たな在留資格である特定技能での外国人人材の受入れができるようになりました。
これに似た制度である外国人技能実習制度は、一般に浸透するようになってきたものの、特定技能の方はまだあまりよく知られていません。
そのため、技能実習と何が違うの?周りで特定技能で受け入れてる会社ってあまりないよね?といった疑問を持つ方も多いかもしれません。
まだ始まったばかりの新制度なので、制度についての情報もそれほど多く広まっていません。
今回は、特定技能という在留資格が何であるのか。そして、どのように活用することができるのかわかりやすく徹底解説します。
しゃちょー、外国人に戦力になってもらうためには特定技能と言う方法もあるんですよ
え?今まで外国人技能実習生のことしか言ってなかったじゃないか
そうなんですけど
実習生は3~5年で終わってしまいますよね
そうだったなぁ
なので技能実習から特定技能に移行すればさらに長期間戦力でいてもらうことができるんですよ
在留資格としての特定技能とは
2019年4月に制度ができた理由
特定技能ができる最初の経緯は、2017年の未来投資戦略において、政府が外国人受け入れの在り方について検討を行ったことが始まりです。
その後は、翌年の経済財政諮問会議にて総理大臣指示により本格的に検討されることになりました。
制度誕生の理由は様々あるのですが、一言で言ってしまえば人手不足解消のためです。
2020年現在、有効求人倍率は44年ぶりの高水準となっており1倍を超える状態が続いていますが、裏を返せば企業の人手不足感はバブル期並みにまで強まっていると言えます。
こういった日本の現状から、外国人に良き産業の担い手となって欲しいという、決して表向きはそう主張していませんが、政府の意向があり特定技能が設計されました。
その結果、2018年12月の国会において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、翌年2019年4月より特定技能の受入れができるようになりました。
制度の概要
この特定技能はわかりやすくいうと、中小企業の深刻な人手不足問題を解消するために、外国人人材を招き入れ生産性を向上させるという在留資格です。
在留資格についてはこちらで解説しているので参考までに。
2種類の在留資格
特定技能には、特定技能1号と特定技能2号という在留資格の種類があります。
1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
と法務省は定めています。
要は、1号は技能レベルが低く、2号は高いということであり、1号より2号の方が優遇された条件が与えられるということになります。
それぞれの詳細は以下の図の通りです。
在留資格一覧 出典:JITCO(https://www.jitco.or.jp/ja/skill/)
ポイントは、1号は在留期間が5年が上限で、登録支援機関による支援の対象になること。2号は配偶者や子供などの家族を日本に呼ぶことができること。になります。
小難しいことはよくわからんが
とりあえず特定技能ってのは在留資格の一つなんだな
そうなんです
1号より2号の方が優遇されていて
今後は2号の職種もどんどん増えていくと思いますよ
受入可能な職種
すべての分野で外国人人材を受け入れることはできません。
予め定められている職種・分野に限り受入可能となります。特定技能1号で可能な職種は2020年6月現在、以下の14種です。
・介護
・ビルクリーニング
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・建設
・造船・舶用工業
・自動車整備
・航空
・宿泊
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
特定技能2号では以下の2種のみです。
・建設
・造船・舶用工業
登録支援機関による外国人人材の受入支援
外国人を特定技能として受け入れる場合、受入れ先のことを受入れ機関(特定技能所属機関)と呼びます。
これには個人事業や企業が該当します。
登録支援機関とは
一方、受入れ機関から委託を受け、特定技能の支援計画の作成やすべての業務のサポートを行う機関を登録支援機関と呼びます。
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 出典:出入国在留監理庁(http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf)
外国人技能実習における協同組合などの監理団体に近いイメージです。
技能実習においても、基本的には自社で受入れ業務を行うことが無いように、特定技能でも登録支援機関に業務を委託することが一般的な受入れのかたちです。
こっちは監理団体じゃなくて登録支援機関っていうんだな
ちょっと技能実習とごっちゃになりそうですよね
じゃあ特定技能で入れたい場合は、
これまでいろいろやってもらってた監理団体とは別のところに依頼しなきゃならんのか?
結構、監理団体をやってるグループで登録支援機関をやってることがあるので
そこはそれほど心配いらないと思いますよ
在留管理庁への届け出
各種手続きの種類について紹介します。
特定技能外国人を受け入れる際には、出入国在留管理庁へ5種類申請を行わなくてはなりません。
・在留資格認定証明書交付申請
・在留資格変更許可申請
・在留期間更新許可申請
・登録支援機関の登録申請
・登録支援機関の登録更新申請
これら資料の作成はは登録支援機関がサポートをすることが多いので、受入れ企業が準備にかける時間はそれほど多くはありません。
ただし、書類に漏れがあると受入れができないので、正確かつスピーディーに行う必要があります。
まとめ
・日本の中小企業の人手不足は深刻化している
・外国人人材が良き産業の担い手となるように特定技能という在留資格が生まれた
・特定技能には1号と2号があり、1号より2号になるほど技能のレベルの高さを求められるがより好待遇となる
・1号は14職種、2号は2職種しか受入れができない(2020年6月現在)
・受入れには登録支援機関がサポートを行う
・特定技能の申請書類として5種類がある