外国人雇用のメリット・デメリット、徹底解説!

日本では少子高齢化に伴う労働者人口の減少が進み、既に一部では人材不足に悩む業種も出てきています
労働者人口の減少は、これからも確実に進行する問題です。

その問題の解消手段として、外国人労働者の雇用を考える企業・経営者も増えています。一部では、労働力としての移民政策の必要性を訴える業界もあるほどです。

しかし、日本は歴史的にも他文化と共存という土壌もなく、移民に対する好意的な反応は少ない事も現実としてあります。

日本で就労する外国人労働者は増加を続けており、厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成30年10月末)によれば、外国人労働者数は1,460,463人となっており、前年同期比14.2%の増加で平成19年に届出が義務化されて以降過去最高を更新しています。

現在、企業が外国人の雇用を検討するのと同様に、多くの外国人が働くことを目的に来日しています。

外国人労働者の雇用目的は企業によって様々ですが、その受け入れについてはメリットと同時にデメリットも存在します。これらを理解しておくことで、その目的に対してより効果的な労働力の確保を行なう事が出来るでしょう。

ここからは、外国人雇用を考える上で重要なメリットとデメリットを解説していきます。

しゃちょーしゃちょー

そういえば、わしがよく行くコンビニにも外国人がレジ打ちしている姿を見かけることがあるな

じんじじんじ

たしかに。最近はコンビニだけでなくファミレスやドラッグストアでも外国人の店員さんをよく見ますね。

しゃちょーしゃちょー

それだけ日本でも外国人の働く文化ができてきてるってことなのかもしれんな

じんじじんじ

そうですね。会社も何らかのメリットがあるからこそ、日本人ではなく外国人に働いてもらっているのかもしれませんね。

メリット

人材不足の解消

外国人雇用の最大のメリットは人材不足の解消です。特に製造業や建設業、農業や行業、福祉など、現在すでに不足している労働力の確保として即効性のある対策と言えます。

国内の求人では、全体の求人倍率と各業種の求人倍率で大きな差があり、特に上記のような業種では募集をしても人が集まらない現状があります。

デスクワークなど「ホワイトカラー」に希望が殺到し、人手の需要が高まっている現場作業などの「ホワイトカラー」の人材が足りていないのです。

それに対して、海外から日本に仕事を求めてくる人材は、少しでも技術を習得したいという現場での業務に対してもやる気に満ちています。

来日前に現地で技能訓練などを受けている若者も多く、もちろん文化や言葉の違いなどで慣れるまでの時間は必要ですが、即戦力となる人材を得る事も可能です。

日本国内で少子高齢化が進む中、外国人労働者の中にはやる気に満ちた若者、そして優秀で高度な知識や施術を持つ人も多くいます。

そういった外国人労働者を採用することは、会社にとって人材不足の解消は勿論、優秀な人材の確保による企業の成長にも繋がっていくでしょう。

職場環境の活性化

外国人労働者の中には、日本の技術を習得するために来日している人も多くいます。そういった人々は勤労意欲が高い為、一緒に働く職場全体への刺激にもなり、職場環境の活性化にも繋がります。

真剣に仕事やその学習に取り組む姿勢は周囲にも良い刺激となり、会社全体での様々な化学変化も期待できるでしょう。

言語や文化の違いは一般的には受け入れの課題ともなりますが、その上で業務の説明や教育をする事で、教育をする社員にも業務の内容をより深く認識してもらう機会にもなり得ます。

また、外国人と日本人では国内の同じ商品やサービスを見ても全く違う感想を持つ事も多いので、今までは考えつかなかった新しいアイディアを出してもらえる事も多く、新しいビジネスや新商品の開発のヒントとなる事も少なくありません。

日本の企業では同じ言語や文化を持った人間同士で空気を読みながら仕事をすることで、業務を効率化している面もあります。

ですがその結果、社内の空気が硬直していたり業務の効率が落ちてしまっているのであれば、新しい風を取り入れる事で職場環境の活性化、そして会社の発展にもつなげていく事が出来るのではないでしょうか。

グローバル化(海外進出)

日本とは違った文化、考え方を持った外国人労働者を雇用する事で、これまでとは違った視点で社内業務を考える事が出来る社内のグローバル化が期待できます。

最近では社内の公用語を英語にして会議などを行う会社も増えてきましたが、これもグローバル化の一つと言えます。2010年に楽天株式会社が英語を社内の公用語としたことは大きなニュースにもなりました。

また、業種によっては扱える言語が増える事によるビジネスの拡大などの可能性も考えられます。

国内の人口減少は労働力の問題だけでなく、消費者も減少しているという問題にもなっています。そのため、企業にとっては海外市場への進出も大きな課題です。

様々な国の文化、語学力を有する外国人を採用する事は、国際化に対応し競争力を得られるといったメリットにもなります。

具体的には、海外進出の際に、外国人労働者を担当窓口にすること。それにより、現地の信用や円滑なコミュニケーションをスムーズに得る事も出来るでしょう。

外国人労働者からその国の様々な情報を得る事が出来、その人のネットワークの活用なども期待が出来ます。

また、海外への進出だけでなく、国内でのグローバルビジネスにも期待が出来ます。現在でもこれだけ外国人労働者が増え、観光で訪れる外国人も増えている現在、外国の文化や慣習を理解し、取り入れたビジネスの需要も大きくなっています。

分かりやすい例として、外国人向けのレストランやホテルなどのサービス業があります。

一般的な日本人が認識していない宗教観や現地の習慣などは、事前に把握しておかないと大きなトラブルに繋がりかねません。そこを理解している外国人労働者に任せる事が出来ればこれ程心強いことはありません。

日本に住む外国人労働者の増加が確実となる中、日本国内のグローバルビジネスも大きな需要が生まれています。

人件費

経営者が考える外国人労働者を雇用するメリットとして、人件費の安さがあります。

もちろん不当な給料の削減は法律で禁止されていますが、日本は発展途上国と比べると、まだまだ裕福な国の一つとして挙げられます。その物価の違いなどから、国内の求人よりも安い賃金でも働くという海外の人材は多くいるのです。

もちろん、全ての外国人労働者を一括りには出来ません。

来日した時点で既に高度な技術や知識、そしてコミュニケーション能力を持った人材には相応の給与が必要ですし、企業も高待遇で積極的に採用を行うでしょう。

また、最初は安い賃金で働いていても、コミュニケーション能力やスキルを伸ばしていくなかで適正な待遇が必要になってきます。

これらは、これから日本が外国人労働者を多く受け入れていくうえで考えて行くべき課題となるでしょう。

日本で働きたい理由

外国人労働者を雇う側からのメリットを説明してきましたが、外国人労働者が日本へ来て働きたい理由、外国人労働者側のメリットは何なのでしょうか?

まず挙げられるのはやはり給料が良いという事でしょう。

特に発展途上国から来ている外国人労働者にとって、日本の最低賃金でも母国の賃金と比較すれば遥かに高い水準となる事も少なくありません。

また、日本は海外に比べると治安が良く、インフラも整っているため、安心して働ける場所でキャリアを積んでいきたいという思いもあります。

まだまだ日本の技術は世界的にも高い水準にあり、サービスの質なども高く、その技術を安全な環境で学べるという事は海外の若い労働者にとって大きなメリットになるのです。

雇う側としては関係の無い様にも思えますが、お互いのメリットを理解する事でより良い雇用関係を築いていけるといえるでしょう。

このように、外国人労働者を雇用する事で得られるメリットは大きいのです。

外国人労働者の雇用は、人手不足のリスクのある貴方の会社の課題を解決する強力な手段となるかもしれません。

しゃちょーしゃちょー

なんだ、会社は給料が安いっていうだけで外国人を雇っているわけじゃないんだな

じんじじんじ

もちろんそれが大きな理由かもしれませんが、それ以外にもメリットは多そうですね

しゃちょーしゃちょー

わが社のような中小企業だと外国語が話せて文化やビジネスマナーまで知っている優秀な人材を集めるのは難しいぞ
その点、外国人人材なら日本人のハイスペック人材を呼ぶよりもハードルは低そうだな

じんじじんじ

そうですよね。
それに会社に外国人が入社してきたら新しい風が入ると言いますか、社内も活気がでそうですね!

デメリット

外国人労働者の雇用はこれまでに挙げたようなメリットがありますが、デメリットもあります。
次は外国人雇用のデメリットについて解説します。

価値観・文化感の違い

異なる文化や発想の違いは、新しいアイディアや創造のチャンスであると同時に、大切とするものの基準や考え方、宗教観など、衝突の原因となるリスクにもなり得ます。

日本はほぼ単一民族の国家で、異文化と生活の中で交流する事に慣れていません。

特に「空気を読む」「阿吽の呼吸」などは、自己主張をして自分をアピールする事の多い外国人には理解しがたいものです。

また、有名なのは中国人の「メンツを大事にする」などですが、フィリピン人などでも「人前での叱責」で職務放棄などに繋がるトラブルが実際に起きています。

日本では上司からの注意や叱責が、他の社員のいる場所で行われる事は少なくありません。

ですが、外国人労働者を人前で叱責するのは避けなければなりません

彼らにとってそういった「尊厳」は日本人が考えているよりもずっと大切なものなのです。

そして、日本人と大きく違うのが宗教観です。

日本は世界からは無宗教と思われるほど宗教に対する執着が一般的に薄いと言われています。

しかし海外では宗教による国同士の戦争や個人の争いが今も日常的に起きており、内容によっては自分から命を絶ってしまう事柄などもあるほどです。

知識としては知っていても、日本人からすれば理解の難しい問題です。

ですが、一緒に仕事や生活で関わっていく上で、その理解は欠かせません。

また、労働に対する価値観も、日本と海外では大きく異なります。

世界的に日本人の労働時間は長いと言われています。

会社によっては勤務時間以外でもサービス残業や接待など、生活と仕事が切り離されていないケースが多く見られます。

それに対して海外では、仕事は勤務時間のみと割り切って、仮に仕事が終わっていなくても定時になれば退社する人も少なくありません。

こういった価値観の違いを理解しておかなければ、雇用した外国人労働者と良好な関係を築くことは難しいと言えるでしょう。

就労ビザの取得に時間がかかる

外国人労働者が日本で就労する為に必要な就労ビザを取得する為に必要な期間は、およそ1~3ヶ月です。

在留資格認定証明書の発行の有無で期間は大きく変わりますが、在留資格認定証明書を発行していない場合、およそ3ヶ月程度の期間が必要となります。(在留資格認定証明書の発行は、入国管理局における事前審査が必要となります)

さらに、就労ビザの取得費用や渡航費用などを企業が負担するケースもある為、担当者が雇用契約の内容をしっかりと把握する事が必要となってきます。

コミュニケーション

外国人労働者を雇用するということは、日本人同士よりもコミュニケーションをとる事が難しくなるという事を理解しておく必要があります。

文化の違いでも触れましたが、日本では普通に行なっている事でも、外国人からすると失礼にあたる事柄も少なくありません。

私たち人間は言葉を使う事で相手と意思疎通を図る生き物です。その言葉が異なる人間同士で意思疎通を図ろうとすれば、それがスムーズに行なえない事は当然と言えます。

日本人はどうしてもコミュニケーションを取る事が難しい相手とは、接する事自体を敬遠してしまう傾向があります。

ですが、外国人労働者の雇用が必要となってきている以上、相手の言葉を理解し自らの考えをはっきりと伝える為の対策や習慣を身に付けていく必要があります。

キャリア


日本での就労を希望する外国人労働者の中には「海外でキャリアを積みたい」と考えている向上心の高い人も多くいます。

そういった考えに対しては、会社がしっかりとキャリアアップの道筋やステップアップのビジョンを説明していく必要があります。

キャリアを求めて就職をする外国人労働者は転職する事に対してあまり抵抗を感じないため、キャリアアップのビジョンが明確になっていないとすぐに離職してしまうということもありえます。

まだまだ日本は転職に対して抵抗を持つ人も多く、キャリアアップについて明確にしていない会社も多くあります。

折角優秀な人材を確保する機会があっても、そういった意識の違いから相手の求める事を理解していなければ、チャンスを逃してしまうことに繋がりかねません。

就労資格、不法就労

外国人労働者の雇用を検討する経営者が最も多く悩む問題が、就労資格に対する知識、不法就労への対策です。

当然のことですが、外国人労働者を雇用する企業は、その外国人が日本での滞在資格や就労資格があるかどうか、その職種に就く資格があるのかどうかの確認をする必要があります。

それらの確認を怠り、資格が無かった場合には「不法就労」となり、事業主には3年以下の懲役、又は、300万円以下の罰金が科せられます。

これを防ぐためにも、就労ビザの更新時期の把握やサポートが必要です。

また、外国人労働者を一定数以上雇用するときには、管理責任者を選定しなくてはなりません。

その他、外国人労働者を雇用する場合には、必要書類や申請、確認等である程度の時間が必要となる事を理解しておかなければなりません。

入国管理法など、外国人に適用される法律に対する一定の知識も求められます。

課題


これらのデメリットの他にも、実際に外国人労働者を雇う事になった場合、雇用後に直面する課題があります。社内体制です。

日本人の労働者が働くために作っていた就業規則や体制も、外国人労働者が十分に能力を発揮出来るように再整備することも必要になってくるでしょう。

社内の設備や食事に関しても、宗教上の観点などから整備が必要になる事も少なくありません。

しゃちょーしゃちょー

外国人を雇えばいろんな問題が解決しそうだと思ったが、そもそも外国人を雇うのがそんなに簡単じゃないんだな

じんじじんじ

ビザや就労資格などの法律面、コミュニケーションや生活サポートなどの体制面で万全の状態が整わないと少し厳しそうですね

しゃちょーしゃちょー

わしはこういうのムリだから、外国人を雇うことになったらじんじ頼むよ

じんじじんじ

人任せにしないでくださいよ~
こういうのはしゃちょーも最低限しっておかないと後々大きなトラブルになってしまいますよ!

まとめ

外国人雇用に関するメリット・デメリットを説明してきました。
特にデメリットに関しては、昨今外国人労働者のトラブルが増えている現状も踏まえ、厳しめにお伝えしました。

ただ、これらの課題を企業の力だけで解決するのは、大企業と比較して体力の少ない中小企業には難しいかもしれません。

外国人雇用の複雑な問題に対しては、国や自治体、行政の係わる団体などで様々なサポートを行なっています。

外国人技能実習制度を利用する場合、対象となる外国人労働者の資格の確認や日本での生活サポートなどを行なっている団体もあります。

自治体や商工会などでも説明や紹介を行なっている場合があるので、まずは問い合わせてみることをおすすめします。