在留資格って何?3分でわかる簡単解説!

外国人雇用を考える上でまず知っておかなければならないのは「日本に滞在する資格」つまり、「在留資格」についてです。

外国籍の人が日本で滞在するには行政から「在留資格」の認定を受ける必要があるのです。

ここでは「在留資格」とはどういったものなのかを解説していきます。

しゃちょーしゃちょー

おい、じんじ
外国人が日本で住むためには在留資格っていうのが必要らしいんだが知ってるか?

じんじじんじ

はい、外国人が日本で住むためにも働くためにも在留資格は必須ですね

しゃちょーしゃちょー

なんか聞いたことはあるが、いまいちよくわからん!
どんなものかわかりやすく説明してくれ

在留資格とは

在留資格とは、日本の国籍を持っていない人が一定期間その国に在留する事について、法律が定める資格を指します。

在留資格には種類があり、その種類ごとに在留出来る期間や在留中に行える活動が法律によって定められています。なお、認められた在留資格以外の活動や在留期間の変更など、在留資格の変更を行うには法務大臣の許可が必要となります。

国ごとに違いがありますが、日本の外国人労働者については「出入国管理及び難民認定法」(入管法)が定める在留資格で規制されており単純労働を目的とする入国・在留は認められていません

外国籍の人が日本国内で働くためには、原則として就労可能な在留資格が必要です。

在留資格とビザ(査証)の違い

在留資格と混同されやすいのが「ビザ(査証)」です。よく「観光ビザ」や「就労ビザ」という言葉を耳にしますが、在留資格とはどう違うのでしょうか。

実は「観光ビザ」や「就労ビザ」などは正式な名称ではありません。外国籍の人が日本で観光や就労のために滞在(在留)する為の在留資格を慣用的そう呼んでいるだけなのです。

本来の意味での「ビザ(査証)」とは外務省の発給する、パスポートの有効性やその持ち主の入国が問題ないという事を示す入国に必要な書類の一部を指します。

入国審査の際、入国審査官はパスポートに添付されているビザを確認します。ビザには入国した後にその人物がその国に滞在する理由が書かれています。入国管理局はその理由に限定して審査を行い、審査に通れば在留資格を与えます。

入国管理局は法務省の管轄なので、ビザは本国の外務省が滞在先の国の法務省に提出する推薦状となります。

ですので、審査が終わり在留資格が与えられればそのビザは無効となります。無くなった書類の代わりに与えられた資格の為、似た様な名称で呼ばれる事が慣習となっているのです。

つまり、在留資格が「その国の国籍を持っていない人が在留する事について法律が定める資格」である事に対して、ビザ(査証)は「その国の国籍を持っていない人が入国するために必要な書類」という事です。

じんじじんじ

つまり、ビザは日本に入るときに必要な入場券みたいなもので、在留資格は日本で生活するために必要な許可証のようなものですね

しゃちょーしゃちょー

なんだ、そういうことだったのか
それにしてもわかりにくい・・・

在留資格の種類

平成30年8月時点で出入国在留管理庁が定める在留資格は28種類となっています。

在留資格一覧表(平成30年8月現在) 出典:出入国在留管理庁ホームページ

活動類型資格

在留資格 該当例 在留期間
外交 外国政府の大使, 公使,総領事,代 表団構成員等及び その家族 外交活動の期 間
公用 外国政府の大使 館・領事館の職員, 国際機関等から公の用務で派遣され る者等及びその家 族 5年,3年,1 年,3月,30日 又は15日
教授 大学教授等 5年,3年,1年 又は3月
芸術 作曲家,画家,著 述家等 5年,3年,1年 又は3月
宗教 外国の宗教団体か ら派遣される宣教 師等 5年,3年,1年 又は3月
報道 外国の報道機関の 記者,カメラマン 5年,3年,1年 又は3月
高度専門職 ポイント制による高 度人材(1号) 5年
ポイント制による高 度人材(2号) 無期限
経営・管理 企業等の経営者・ 管理者 5年,3年,1 年,4月又は3 月
法律・会計事務 弁護士,公認会計 士等 5年,3年,1年 又は3月
医療 医師,歯科医師, 看護師 5年,3年,1年 又は3月
研究 政府関係機関や私 企業等の研究者 5年,3年,1年 又は3月
教育 中学校・高等学校 等の語学教師等 5年,3年,1 年,4月又は3 月
技術・人文知識・国際業務 機械工学等の技術 者,通訳,デザイ ナー,私企業の語 学教師,マーケティ ング業務従事者等 5年,3年,1 年,4月又は3 月
企業内転勤 外国の事業所から の転勤者 5年,3年,1 年,4月又は3 月
介護 介護福祉士 5年,3年,1年 又は3月
興業 俳優,歌手,ダン サー,プロスポーツ 選手等 3年,1年,6 月,3月又は15 日
技能 外国料理の調理 師,スポーツ指導 者,航空機の操縦 者,貴金属等の加工 職人等 5年,3年,1年 又は3月
技能実習 技能実習生1号 法務大臣が 個々に指定する 期間(1年を超え ない範囲)
技能実習生2号 法務大臣が 個々に指定する 期間(2年を超え ない範囲)
技能実習生3号 法務大臣が 個々に指定する 期間(2年を超え ない範囲)
文化活動 日本文化の研究者 等 90日若しくは3 0日又は15日 以内の日を単位 とする期間
短期滞在 観光客,会議参加 者等
留学 大学,短期大学, 高等専門学校,高 等学校,中学校及 び小学校等の学 生・生徒 4年3月,4年, 3年3月,3年, 2年3月,2年, 1年3月,1年, 6月又は3月
研修 研修生 1年,6月又は3 月
家族滞在 在留外国人が扶養 する配偶者・子 5年,4年3月, 4年,3年3月, 3年,2年3月, 2年,1年3月, 1年,6月又は3 月
特定活動 外交官等の家事使 用人,ワーキング・ ホリデー,経済連携 協定に基づく外国 人看護師・介護福 祉士候補者等 5年,3年,1 年,6月,3月又 は法務大臣が 個々に指定する 期間(5年を超え ない範囲)

地位等類型資格

在留資格 該当例 在留期間
永住者 法務大臣から永住 の許可を受けた者 (入管特例法の「特 別永住者」を除く。) 無期限
日本人の配偶者等 日本人の配偶者・子・特別養子 5年、3年、1年6月
永住者の配偶者等 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 5年、3年、1年6月
定住者 第三国定住難民、日系三世、中国残留邦人等 5年、3年、1年6月又は法務大臣が個々に指定する機関(5年を超えない範囲)

在留資格一覧表(平成30年8月現在) 出典:出入国在留管理庁ホームページ

 

在留カード

在留資格の付与と共にその人に登録と携帯が義務付けられるものとして、在留カードがあります。

2012年に導入され、それまで外務省が在留資格を認めた後に自治体が外国時人登録証を発行して住所や世帯などの情報を管理していたものを、外務省が一元管理をするシステムです。

情報が不足する自治体が登録証を発行する事で発生する不法滞在を防ぐ事が目的で、顔写真や住所、在留資格などの各情報が記載されています。

90日を超えて在留する日本国籍を持たない人に法務省が交付しています。

在留資格認定書

在留資格と似た名称で、在留資格認定書というものがあります。

日本国籍を持たない人が短期滞在以外の在留資格で日本に訪れる際、事前に法務大臣が在留資格に関する適合性を審査して、その人の申請する在留資格に適合することを証明する文書です。

つまり、法務大臣が「その人が日本に入国してもよい」と認めたことを示す認定書となります。

通常は査証を申請・取得してその内容で在留資格の審査が行われますが、在留資格認定証明書を提示する人は既にその審査を行なっている者として取り扱われるので、査証の発行や在留資格の認定がスムーズに行われます。

勿論、在留資格認定証明書が無くてもビザによる審査を受ければ在留資格を得る事は出来ますが、ビザの申請は日本と海外にある役所を通して行うので、書類の不備などで手続きに多くの時間を必要とする事も珍しくありません。

その為、少しでも早く在留資格を取得したい場合はこの認定書の申請を事前に行なう事が必要となります。

在留資格の取り消し

しかし、せっかく取得した在留資格もそのルールを守らなければ取り消される事もあります。

事前の申請の内容に対して認められた資格なので、その内容を守らなければ取り消されてしまうのは当然といえば当然です。

平成30年の在留資格の取り消し件数は、法務省の発表では832件で、前年比の116.1%となっています。

平成30年の「在留資格取消件数」について 出典:法務省ホームページ

在留資格の取り消しとなる対象は入管法第22条の4に規定されています。
⇒在留資格の取り消し(入管法第22条の4)

法律なので難しい言い回しが多いですが、簡単に説明すると次の様になります。

・虚偽の申告で在留許可を取っていた
・在留許可を得るための書類に虚偽や間違いがあった(故意かどうかは関係ない)
・在留資格の活動をしていなかったり、その他の活動をしていた
・日本人と結婚して在留資格を得た人が、配偶者として暮らしていなかった
・在留資格の変更があった時に住所の届出をしていなかった(住居が変わっていなくても必要)
・引っ越した場合に、引っ越し先の住所を届け出なかった。
・嘘の住所を届け出ていた

基本的に「嘘をついた」場合に取り消されますが、住所の届出忘れや、書類の不備などで取り消されるケースも少なくありません。

自分で申請して日本に来た人の場合は自己管理も必要ですが、海外の人材を雇用する場合はこれらに関するサポートも必要となるでしょう。

突然の在留資格の取り消しとなれば職場の人材不足にもなりますし、万が一そのまま不法滞在で就労を続けていた場合、雇用主にも重い処罰があります。

しゃちょーしゃちょー

なんだって!?
せっかく苦労して取った在留資格でも取り消されることがあるのか?

じんじじんじ

そうなんです。しゃちょーも不法滞在外国人が見つかったとかニュースで見かけませんか?

しゃちょーしゃちょー

ああ、見たことあるぞ
あれはこういうことだったんだな

じんじじんじ

日本は法治国家ですから外国人が生活するためには日本の法律に則って在留資格を取得する必要があるんです
そうしないと犯罪が起きたときや何かトラブルが起きたときに問題を解決するのが困難になりますからね

しゃちょーしゃちょー

なるほどなぁ
わが社で雇用するときも十分に法律を知っておかないとな
じんじが!!

じんじじんじ

また私頼みか・・・

まとめ

このように、在留資格と一口に言っても、それに付随する様々な法律や決まり事が存在します。

かといって、会社がこれらの法律を網羅し、全てサポートをする事は現実的ではありません。

海外の人材を雇用する場合は、これらの制度に精通したパートナーを探すことも重要となってくるでしょう。