外国人技能実習生をどこよりもわかりやすく徹底解説!

これまでの記事で在留資格について詳しく説明してきましたが、今回はその中の一つである外国人技能実習生について詳しく説明していきます。

この内容さえ把握しておけば、外国人技能実習生の全体的な概要はバッチリです!

しゃちょーしゃちょー

外国人技能実習生!!
最近よく耳にするな

じんじじんじ

事件やトラブル関連のニュースも含みますが、良い意味でも悪い意味でも世間に認知され始めてきましたね

しゃちょーしゃちょー

これは今までの就労ビザとかアルバイトとは何が違うんだ?

じんじじんじ

外国人技能実習生は、外国人人材に働いてもらうための制度として今最も注目されているんですよ!

外国人技能実習生とは

外国人技能実習生とは外国人技能実習制度(研修制度)を利用している労働者の名称です。

この制度は、主に新興国の若者が労働を通して日本の高い技術を習得しその国の発展を担う人材を育成する事を目的として創設された制度です。

日本製品の製作過程や品質管理、サービスなどを実体験として学ぶことが出来るため、技能実習生やその母国にメリットがあります。

この制度は2010年まで「外国人研修生制度」という名称で運用されてきましたが、目的外の労働の強要や賃金の未払いなど、残念ながら本来の目的と事なる運用を行うなどの問題も起きていました。

この問題に対し制度の再検討を行い、研修生(技能実習生)の権利などを明確する為に制度の改正が行われ「外国人技能実習制度」となりました。

その後も状況に応じ改正が行われ、2017年11月より「技能実習法」が施行となり、新たに外国人技能実習制度の運用が開始されました。

技能実習1号・2号・3号

この改正により、1年目は「技能実習1号」2・3年目は「技能実習2号」の従来の制度に加え「技能実習3号」という在留資格が追加されました。

以下は各資格の簡単な説明です。

技能実習1号

技能実習の一年目は「技能実習1号」となり、企業単独型は「技能実習1号イ」、団体管理型は「技能実習1号ロ」となります。

※技能実習の1年目の最初の2か月は原則として座学での講習となり、この期間は受け入れ企業と技能実習生に雇用関係はありません。

技能実習2号

2・3年目は「技能実習2号」となり、企業単独型は「技能実習2号イ」、団体管理型は「技能実習2号ロ」となります。

技能実習1号から技能実習2号へは所定の技能評価試験(学科及び実技)の合格が必要です。

技能実習3号

4・5年目は「技能実習3号」となり、企業単独型は「技能実習3号イ」、団体管理型は「技能実習3号ロ」となります。

技能実習2号から技能実習3号へは所定の技能評価試験(実技)の合格が必要です。

※第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な職種・作業は主務省令で定められています。
移行対象職種・作業一覧 出典:厚生労働省ホームページ

監理団体型と企業単独型

この改正により実習実施者(企業)と監理団体(協同組合)の責任がより明確になり、優良な実習実施者と監理団体、実習生は技能実習を2年延長する事が可能となりました。

実習生の受け入れには企業が単独で行う企業単独型と、公的な援助・指導を受けた協同組合や商工会等の団体と企業様とが共に技能実習を行う団体監理型の2種類の制度があります。

企業単独型での受け入れは、受け入れ企業が海外の子会社や合弁会社等の従業員に対し日本で実習を実施する為の制度で、受入れに係る全ての事務作業を企業が行うものになります。

団体監理型での受入れは、監理団体が送出し機関と提携して人材の募集や入国の手続き、日本語教育などの事務的な手続き全般を行い、受け入れ企業は実習の対応を集中して行ってもらえるようサポートすることが可能な制度です。

また、海外の送出し機関と提携を結ぶ監理団体を利用することで、海外に拠点を持たない企業でも実習生の受入れが容易となります。

じんじじんじ

技能実習制度は新興国の若者に日本の技術を持って帰ってもらって、母国の経済発展に役立ててもらうための制度なんです

しゃちょーしゃちょー

おお!我が社も実習生を受けれ入れたら国際貢献ということか!
これは良いイメージ戦略かもしれんな

じんじじんじ

昨今はCSRへの意識も高まっていますからこういった貢献活動はPRできると強いかもしれないですね

しゃちょーしゃちょー

あと監理団体っていうのが実習生の受入れをいろいろサポートしてくれるんだな

じんじじんじ

そうなんです
ビザを取得したり入国後のフォローまでをぜんぶ我が社でやろうと思ったらかなり大変ですからね

しゃちょーしゃちょー

じんじ、始める前から泣き言は良くないぞ!
まずは何事も気合でやってみないことには先に進めんからな
ガハハハハ

じんじじんじ

(え~・・・私の仕事これ以上増えたら過労死してしまう)

技能実習制度の流れ

技能実習制度には「受け入れ企業(実習生)」「管理団体」「送り出し機関」それぞれで以下のような流れがあります。

※企業単独型では「受け入れ企業(実習生)」「管理団体」「送り出し機関」を企業が行う形になります。

受入企業(実習生) 監理団体 送出機関
受け入れ申し込み
2~4週間 希望人材の条件提示 各種書類作成 技能実習候補者の選定
監理団体へ受け入れを希望する人材の年齢、性別、学歴/職歴、志望動機などの希望を伝える。 送出機関へ受け入れを希望する人材の年齢、性別、学歴/職歴、志望動機などの希望を伝える。 受入企業から受け入れ希望の人材について詳しく聞き取りを行い、希望に合った人材を斡旋・選抜する。
面接
4か月~6か月 採用者選定 採用候補者の入国に必要な手続き 採用候補者の送出準備
送出機関から紹介された候補者の面接を実施し、採用者の選定をおこなう。 採用候補者の面接に同席するほか、在留資格申請書類の作成及び申請、ビザ申請及び発給の手続きを行う。 受入企業が選定した候補者への告知や健康診断などを実施する。
採用者トレーニング開始
日本入国までの間、日本語等の教育を実施。必要に応じて受入企業の業種・職種に合わせた教育も行う。
入管申請
技能実習生の履歴書、送出元企業概要書、労働省提出書類等を作成し、監督省庁に提出。
入国
1か月 入国及び直前講習
留資格認定証明書とビザの発給を受けて入国。技能実習にスムーズに入れるよう監理団体が直前講習を実施する。
第1号技能実習開始~第2号技能実習
3年 技能実習生受け入れ・実習 監理・監査 サポート
受入企業と技能実習生が労働基準法に沿って雇用契約を結び、技能実習日程に沿って実習を行なう。 3ヵ月に1度の定期監査、実習生1号については1ヵ月に1度の定期巡回を行ない、技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているかを監査・報告を行なう。 受入企業、監理団体、実習生のサポートを実施。
技能実習2号への移行申請手続きと技能検定
技能実習1号の期間中に修得した技能を基に技能検定(基礎2級)を実施し、管轄入国管理局に資格変更許可・期間更新を申請する。1号期間が1年、2号へ移行して2年で合計3年間の実習を行なう。
第3号技能実習
2年 技能実習3号への移行申請手続きと技能検定
外国人技能実習機構から優良認定を受けている受入企業及び監理団体は第3号技能実習の実施または監理が可能となる。3号へ移行後は2年間実習を行い、その後帰国となる。
帰国
しゃちょーしゃちょー

なるほど
実習生は3~5年間働くことができるわけか

じんじじんじ

はい
ただ日本に来るまでには半年以上必要になるので、すぐには仕事できませんよ

しゃちょーしゃちょー

なんでそんなかかるんだ?
紹介会社を使ったら遅くても1~2か月くらいだろ?

じんじじんじ

実習生が来日して働けるようになるためには非常に多くの手順を踏まなくてはいけないからなんです
選考から始まり日本語の勉強、ビザの取得、入国後の日本生活に慣れるための教育等々ですね

しゃちょーしゃちょー

そんなにいろいろあるのか!
大変そうだから我が社にはやっぱり無理なんじゃないか?

じんじじんじ

いえいえ、これも大変なことは先ほどしゃちょーが話していた監理団体が代行してくれるんですよ

技能実習生を受け入れる5つのメリット

技能実習生の受け入れは人員不足の解消はもちろん、次のようなメリットもあります。

技能実習生を受入れるメリット

意欲の高い人材による企業の活性化

技能実習生として来日する人材は労働・学習への意欲が高いです。

そのような人材を受入れることで、既存の従業員にも良い刺激や影響を与える事が出来ます。

基礎技術、知識を習得済みの人材を雇用できる

技能実習生はその業種の経験者のことが多く、日常会話や専門用語などの日本語や日本の生活習慣などを最低3ヶ月間、一般的には半年間の教育を受けて来日しています。

そのため、業務内容などの教育がスムーズに行えます。

企業内の国際理解の促進

既存の従業員が技能実習生と日々業務で接することで、企業内の国際理解が深まります。

企業の国際化、海外展開

様々な企業・業界で海外の市場へ目を向ける必要性が大きくなっている中、そのための人材の確保はより重要になっています。

技能実習制度から海外展開を拡げている企業では、技能実習生を帰国後に現地雇用したり、日本で技能実習を修了した人材を積極的に雇用している企業もあります。

帰国した技能実習生の人間関係や現地情報を活用し、企業の海外展開に役立てることが可能です。

優秀な人材を安定して雇用可能

途上国では技能実習生を希望する人材は多いため、企業は安定して優秀な人材を雇用することが可能です。

これらのメリットの他にも、社員が技能実習生へ教育を行う事により業務への理解が深まり、それらの引継ぎ業務により情報の共有化の習慣化など、企業全体の業務の効率化やレベルアップを図る事が出来ます。

また、技能実習生を継続して受け入れる事により、前年に受け入れた実習生が翌年の実習生の教育を担当することで一層の教育、業務の効率化を図る事も出来ます。

技能実習生の受入れ人数枠

このように技能実習生の受け入れには様々なメリットがありますが、技能実習生を受け入れる人数には企業の規模により以下の様な制限があります。

基本人数枠

実習実施者の常勤職員数 技能実習生数
301人以上 常勤職員数の1/20
201人以上300人以下 15人
101人以上200人以下 10人
51人以上100人以下 6人
41人以上50人以下 5人
31人以上40人以下 4人
30人以下 3人

※原則として以下の人数を超えて実習生を受け入れる事は出来ません。

1号実習生:常勤職員の総数
2号実習生:常勤職員数の総数の2倍
3号実習生:常勤職員数の総数の3倍

(常勤職員とは、技能実習生を受け入れている実習実施者に継続的に雇用されている職員を指します)

人数枠(団体監理型)

人数枠
1号
(1年目)
2号
(2・3年目)
優良基準適合者
1号
(1年目)
2号
(2・3年目)
3号
(4・5年目)
基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍

【参考例】基本人数枠で3人の受け入れ枠(社員数30名以下)の場合

  1年目 2年目 3年目 4年目
1年目 3人 3人 3人 帰国
2年目 3人 3人 3人
3年目 3人 3人
4年目 3人
合計 6 9 9
しゃちょーしゃちょー

よ~し
我が社の人手不足も実習生を10人呼んで解決だ

じんじじんじ

しゃちょー、それはムリです
うちだと最初は3人が精いっぱいです

しゃちょーしゃちょー

なんでだ!?
国際貢献をするんだからたくさん呼んで貢献したって良いだろ?

じんじじんじ

実習生の人数枠というのが制度上決められているんです
それが我が社だと初年度は3人が限界なんです

しゃちょーしゃちょー

そういうことか

じんじじんじ

まぁ来年さらに3人呼べるから我慢しましょうよ

しゃちょーしゃちょー

それがルールなら仕方ないか~
じんじが7人分働いてくれれば何も問題ないわけだし
がんばれよっ

じんじじんじ

(この会社まっ黒だ・・・)

まとめ

外国人技能実習生を雇用するには、このように多くのメリットがある一方で同時に様々な制限もあります。

そのため技能実習生の受入れを検討する際には、制度を最低限理解し、違反行為を行わない注意が必要となります。

また、制度は日々変更が加えられているため、最新の情報を勉強し続けることでうっかり違反してしまったといったミスも防ぎやすくなります。

企業にとってそのような点が大変だと感じられる場合は、実績の豊富な監理団体への相談をお勧めします。